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自作したテニスのビデオ分析ツールで錦織・デルポトロ戦を分析してみました

公開日:
最終更新日:2018/04/15

      2018/04/15

テニスのビデオ分析ツールをつくって、先日行われた錦織・デルポトロ戦を分析してみました。
錦織がデルポトロに2-6 2-6(マイアミ3回戦)で負けた試合です。

ビデオ分析ツールを自作した理由は↓になります。
・ATPサイトServe Return Trackerでトッププロのコース毎のポイント率などが掲載されているのをみて、サーブの着弾点などを自分で記録・分析したくなった。
・商用のビデオ分析ツールは価格が高い。個人が趣味で買うにはちょっときつい。
錦織も復帰しましたし、やってみるかということで自作してみました。

pythonというスクリプト言語と、tkinterというGUIライブラリで作成しました。

自作したビデオ分析ツールについて

まずは作成したビデオ分析ツールについて簡単に説明します。

↓の画像はツールの操作画面です。
動画をとりこみ、スコアやサーブの着弾点を記録することができます。

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動画のフレームをコマ送りで進めながら、ポイント毎にシーン分割し、スコアやサーブの着弾点を記録していきます。
ボタンを左下に配置し、ボタンをクリックするとスコアなどが、右側に記録されていきます。
(ボタンの大きさが不均一だったりUIはまだ全く洗練されていませんが)

サーブの着弾点はボールの位置をマウスでクリックしてxy座標として記録していきます。

ポイントパターン(サービスエースやストロークエラーなど)

では、記録した試合データについてみていきます。

試合の全体感ですが、デルポトロはサーブだけでなく、ストローク戦でも試合を優位に進めました。

↓のグラフをみてみると、デルポトロがサービスエースやストロークエラーで多くポイントをとっていることがわかります。
このグラフは、どちらの選手がどうポイントをとったか、ポイントパターンの数を棒グラフで比較しています。

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デルポトロのフォアハンドはトップ1、2を争うぐらい強力です。
錦織も基本、デルポトロのバックハンドにボールを集めるようにしていましたが、追い込む前にフォアに打って、
厳しいボールで返球されて劣勢に立ってしまう場面が多くありました。
錦織自身の自滅ショットも多かったかなと。序盤は互角のストローク戦を演じてたんですけどね。

デルポトロが、錦織のボレーエラーでとったポイントも4つあります。
錦織がデルポトロのバックハンドにアプローチを打って前に出ても、デルポトロがうまく足下に沈めて返球し、ボレーエラーしてしまうことが何度かありました。
デルポトロのバックの処理もうまかったですが、錦織のアプローチも少し甘かった、というのもあったと思います。

1stサーブの着弾点をみてみると、錦織はワイドとセンターとの打ち分けをうまくできていないようにみえる

次に、1stサーブの着弾点をプロットし、ワイド、ボディ、センターの比率とポイント率を確認してみました。
まず、デルポトロの1stサーブのコース率とポイント率です。

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ボディのコース率は、Ad5.9%、Deuce7.7%と、非常に少なく、ワイドとセンターのライン際にエースを狙って打ってきていたことがわかります。
Adサイドに関しては、ワイドの方がポイント率が高く、コース配分も多く、デルポトロの得意コースみたいですね。ATPサイトで平均データをみてみても、Adサイドのポイント率は、Wide:78.9%、Center:70.4%でした。

次に、錦織の1stサーブのコース率とポイント率です。

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デルポトロと比べてポイント率が一段劣ります。
あと、bodyコースが多いです。これは狙って打ってるんじゃなくて、ワイドとセンターとにちゃんと打ち分けられていないんじゃないかと。

あと、これは意外なんですが、deuceコースのワイドのポイント率が66.7%とセンター55.6%より高くなってます。ワイドはフォア側なので逆のデータになると思ってましたが。
外に追い出してからの展開の方が、そのあとのラリーを優勢に進められるということでしょうか。錦織のフォアへのワイドサーブは甘くなって叩かれるイメージをもってましたが、この試合ではまあまあうまくいったのかなと。

着弾点をプロットした図もみてみましょう。
上がデルポトロ、下が錦織のサーブ着弾点です。

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やはり錦織のサーブはボディコースの多さが目立ちますね。
青色がポイントwonですが、デルポトロサーブdeuceのセンター、adのワイドが強力ですね。

錦織のAdサイドのリターン返球率が23%、特にワイドコースに苦戦

リターン返球率もみてみたいと思います。

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錦織は、Adサイドのリターン返球率が23%(3/13)と、だいたい4ポイントに1回しかリターンを返せていなかったことになります。
Adサイド、返球できなかったポイントは13ポイント中、10ポイントで、そのうちエース5本、リターンエラー5本となります。
また、ワイドコースだとエース4本、リターンエラー4本なので、Adサイドはデルポトロのワイドコースでリターンをうまく対処できなかったようです。

↓のグラフはエースとリターンエラーとなった1stサーブの着弾点となります。
赤く囲ったところが、デルポトロのAdサイドワイドコースの着弾点です。

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公式Statsだけではわからないことも確認できるようになった

以上、自作ビデオ分析ツールで、サーブの着弾点とポイント率などを絡めてデータをみてみました。

「錦織のサーブがボディコースが多い」とか、「錦織はデルポトロサーブ、Adサイドのワイドコースに苦戦した」とか、
公式Statsだけではわからなかったことを確認することができました。

データ記録に実際の試合の3倍ぐらいの時間を要するので、すべての試合でこれをやるのは厳しいですが、重要な試合など今後もビデオ分析ツールを使って分析していきたいと思います。

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