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錦織圭、ブリスベン決勝(ディミトロフ戦)をデータ分析してみました ~ポイント率、サーブコース・速度など~

公開日:
最終更新日:2017/07/25

      2017/07/25

準優勝に終わったブリスベン国際の決勝戦(ディミトロフ戦)。

2-6,6-2,3-6とファイナルセットで敗北という結果でしたが、負けた要因はなんだったのかをデータを整理して分析してみました。

使ったデータは、「ポイント率などのSTATSデータ」と「サーブのコースと速度データ」。

第1セットは1stサーブポイント率、第3セットはリターンポイント率に問題があった!?

1st,2ndそれぞれのサーブとリターンポイント率から何に問題があったのかを探っていきたいと思います。
まず、各セットのサーブのSTATSデータをグラフ化してみました。1stserve-data
グラフをみてみると、
第1セットでは、1stサーブのポイント率が57%と非常に低かったこと
第3セットでは、1stサーブの確率が58%と低かったこと、
がわかります。
また、リターンのSTATSデータをみてみると、
return-point-per

第3セットで、リターンポイント率が0%(1st),22%(2nd)と非常に低いことがわかります。

ということで、
・第1セット、1stサーブポイント率が低かった要因
・第3セット、リターンポイント率が低かった要因
を観点にしてデータ分析してみました。

1stサーブポイント率が低かった要因は?

1stサーブ各サイドでの、コース別のポイント取得率をみてみました。
serve-cource_1st
デュースサイド、ワイドでのポイント率が29%と、非常に低いことがわかります。
たしかにワイドコースでサーブをたたかれている場面を何度もみました。

ワイドコースに打ちすぎていた!

ワイドコースに打ちすぎている印象があったので、コース配分を確認してみました。
serve-cource-per

やはり、デュースサイドの配分が70%と多くのサーブをワイドに打っていたことがわかります。
ポイントがとれていないのにこんなにワイドに打ってしまっていたとは。
ちなみに、ディミトロフはワイドとセンターを47%、47%と半々で打ち分けていました。

ワイドサーブは速度が遅くなってしまう

次にコースごとのサーブ速度を確認してみました。
serve-cource-speed
錦織のワイドサーブの速度が157km/hと他のコースと比較して遅いのが目立ちます。
デュースサイドのワイドコースは回転量を多くする必要があるので、速度が遅くなるのは仕方ないのですが、
相手の裏をつくとかでないと有効なサーブとはなりえません。

ディミトロフも、センター203km/hに対して181km/hなので、ワイドの速度が落ちるのはいたしかたないのですが、
錦織は、もともとのサーブ速度が遅いので、ワイドサーブはもう少し控えた方がよかったかもしれません。

この威力で、ワイドコースにサーブを集めたのは作戦失敗だったと言っていいでしょう。

第3セットのリターンポイント率が低かった理由は!?

最初に言ったように、第3セットでのリターンポイント率は0%(1st)、22%(2nd)と非常に低い数字でした。

そこで、リターンの返球率を確認してみました。
リターン返球率とは、相手のサーブを返球した確率のことです。
エースをとられなかった、リターンミスにならなかった確率とも言えます。

return-1st-per
これは1stサーブに対するリターン返球率です。

第3セットをみてみると、ディミトロフも低いですが、錦織が31%(4/13)と極端に低い数字となっています。
13本中4本しか返球できていません。

錦織は、だんだん相手のサーブに慣れていって返球率を上げるイメージがありますが、
この試合ではそれがありませんでした。第2セットはよかったんですが。

2ndサーブも同じようにリターン返球率が低かったんでしょうか。

return-per-2nd
いや第3セットの2ndサーブリターン返球率は100%とちゃんとリターンを返していることがわかります。

そうすると、ストロークラリー戦でポイントをとれていなかった、ということになります。

そこで、アンフォーストエラー率とウィナー率を確認してみました。

まずはアンフォーストエラー率のグラフです。
アンフォーストエラー率は、アンフォーストエラー数/ポイント数で確率を算出しています。
unforcedError
ちょっとした差ではあるのですが、ディミトロフは第3セットでアンフォーストエラーの確率を9%(4本/45本)に減らしています。

錦織は、16%(7本/45本)と、本数としては3本の差ですが、ディミトロフがストローク戦も優勢に試合を進めていた様子がわかります。

ウィナー率もみてみると、
winner-per
ウィナー率もディミトロフが上回っており、ストロークラリー戦で、ディミトロフが上回っていたことがわかります。

つまり、2ndサーブに対するリターンは、返球はできていたが、ストローク戦でポイントをとれなかった、ということです。

まとめ

敗因をまとめてみましょう。

第1セットは、デュースサイドでワイドにサーブを集めすぎて、読まれたせいか、または速度が遅かったせいか、鋭いリターンを受けて多くのポイントを失ってしまいました。

また、第3セットは、1stサーブに対するリターンはほとんどリターンを返せていませんでした。

そして、アンフォーストエラー数はディミトロフが少なく、ウィナー数はディミトロフが多い、とストロークラリー戦でもディミトロフが優勢に進めたことで、錦織はポイントをあまりとれなかったようです。

細かい分析はしませんでしたが、第3セットで1stサーブの確率が落ちたことも、敗因の1つとしてあるでしょう。

最後に

サーブポイント率やリターンポイント率などのSTATSデータは、データとして毎試合公開されるのですが、
それだけだと試合の状況を把握するには不十分だと前から感じてました。

コース別のサーブポイント率、リターン返球率などをデータ化することで、もう少し細かい分析ができるんじゃないか、
ということで、全ポイントのデータを自分で記録する、ということにトライしてみました。

サーブコース・速度、リターン返球率など。
サーブ速度はテレビの画面に速度表示板が映り込むので、それを記録しました。
けっこう骨の折れる作業でしたが、いろいろ新しくわかったこともあり、面白かったです。

時間がかかるので毎試合これをやるのは大変ですが、適宜こういったデータ分析をしていこうかな、と思いました。

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