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2016年のデータから錦織選手の2017年について考えてみました

公開日:
最終更新日:2017/07/23

      2017/07/23

表題通り、サーブやリターンのデータをみながら、今後の錦織について考えてみました。

データはATPサイトに掲載されているサーブやリターンのポイント率などのSTATS(統計)データを使用しました。
データは過去52週(1年間)分の平均値のデータとなっています。

サーブとリターンのポイント率について

トップ100選手(2016年12月時点)のサーブポイント率、リターンポイント率をプロットしてみると、
今の錦織の立ち位置がわかります。

rs

錦織の数値は、サーブP率 66%、リターンP率 40%となっており、トップ10にふさわしい数値を残しています。
ただ、やっぱりマレー、ジョコビッチ、ナダル、フェデラーとはまだ差があるなと。

もっと上を目指すためには、サーブ・リターンともにポイント率を「もう数%」上げたいところ。

ということで、「サーブ、リターンそれぞれのポイント率を上げるためには何が必要なのか」を考えてみました。

1stサーブと2ndサーブそれぞれのポイント率

まずサーブのポイント率を上げるためにどうすべきか。

1stサーブと2ndサーブそれぞれのポイント率についてプロットをしてみました。

s1st2nd

錦織は、1st 73%、2nd 54%。

この数値は、錦織の身長とかを考えると、けっこう善戦しているんじゃないかと思っています。

他のトップ10選手には見劣りしますが、みな身長も高いし、強力なサーブを武器にしています。

上で「サーブのポイント率を、数%上げたいところ」と言いましたが、
1stサーブ、2ndサーブそれぞれのポイント率を上げるのはなかなか難しいんじゃないかというのが、私の感じたところです。

1stサーブの確率(1stサーブIn率)

そこで、1stサーブの確率に注目してみました。

1st2ndそれぞれのポイント率を上げなくても、
1stサーブの確率を増やせば、合計としてのサーブのポイント率は上がるからです。

下のグラフは、1stサーブIn率と1stサーブP率をプロットしてますが、
錦織の1stサーブIn率は、61%と悪くはありません。
(全体の平均は59.8%、トップ10平均は61.2%)

1stserve-1stservein

ただ、ナダルをみてみると、71%と非常に高い確率で1stサーブを入れていることがわかります。
ナダルは、サーブのポイント率は65%と決して高くはないので、比較していいかはわかりませんが、
一つの参考にはなると思いました。

錦織が仮に、1stサーブIn率を70%に上げると、
全体のサーブのポイント率は、65.6%⇒67.1%(+1.7%)に向上
するんですね。
(1st2ndサーブそれぞれのサーブポイント率が変わらないことを前提にしてますが)

サーブの確率を上げるのは難しいチャレンジになるかとは思いますが、
1st2ndそれぞれのポイント率を上げるよりも現実的な選択肢になるんじゃないか、と。

1stサーブの確率と勝敗の関係

じゃあ、勝った試合は1stサーブの確率はよくて、負けた試合は低かったかというと、データはそうではありませんでした。

錦織の2016年 71試合のデータで、1stサーブIn率の分布を勝ち負け(WとL)に色分けしてみると、下図のようになります。

1stservein-histgram

うーん、勝ち負けにあまり差があるように見えませんね。
80%あるのに負けてる試合もありますし。。

平均値でみると、負け試合の平均値は61.7%、勝ち試合の平均値は60.7%とむしろ悪い結果となってしまいます。

確率はよくても、1stサーブのポイント率は低いからあまりポイントをとれていなかったり、逆もしかりで
いろいろ要因はありそうですが、単純にサーブの確率を増やすだけでは勝ちに結びつきません。

つい先日行われたATPツアーファイナルのジョコビッチ戦、1-6、1-6と散々な結果でしたが、
実は1stサーブIn率は64%とまあまあの確率でサーブは入っていたんですね。

ただ、入っていたというより入れにいったという表現の方が正しくて、2ndサーブが攻め込まれやむなくそうした、というのが試合をみていた印象です。

サーブの確率が大事ではないとは思いません。
いや大事なはずです。

でも質を落とさず確率を上げていく、というのが大事なんでしょう。
当たり前ですが。

データ分析としては確率だけをみるんじゃなくて、サーブのコース、スピードなど質も合わせてみていく必要があるな、とも思いました。
そうすれば、上の図の見え方も変わってくるでしょう。
それは私の今後の課題です。

2011年~2016年の錦織のデータ

もう一つ、サーブIn率に関するデータとして、
錦織の2013年~2016年の1stサーブIn率と1stサーブポイント率の推移をみてみました。

nishikori-serve-hist-2013-2016

みてみると、2014年は前年より1stサーブIn率を下げています。63%から60%へと。
代わりに1stサーブP率を69%から73%と上げています。

2014年というと、全米オープン準優勝したり初めてATPツアーファイナルに出場した錦織にとって飛躍の1年となった年です。

また、2016年サーブIn率は2015年の60%から61%に少し上がったけど、1stサーブのポイント率は75%から72%に下げています。

どっちの方が大事とは言えなくて、どちらも大事、なんですね。

サーブに関する結論

ということで、すいません、結論出ずです。

1stサーブの確率が大事か、1st2ndそれぞれのサーブP率が大事か、という話にしてしまいましたが、どちらも大事そうだと。
当たり前ですね。

サーブの確率は上げた方がいいけど、その分、質を落として、1stサーブのポイント率を下げたら意味がありません。

あと、錦織の過去のデータをみて思ったのですが、
1stサーブのポイント率が2014年や2015年より下がってますが、錦織のサーブのレベルは下がっているとは思えません。

これは、相手選手の錦織に対するサーブ対策が進んできた結果かもしれません。

とすれば、対戦相手のリターンの特徴に合わせてサーブを打っていく、といことが有効になるかもしれません。

リターンポイント率

サーブの次はリターンです。

リターンの1st2ndそれぞれのポイント率をプロットしました。

r1st2nd

錦織の数字は、1st 31%、2nd 53%
と良い数字ににみえますが、
トップ選手(マレー、ジョコビッチ、ナダルなど)と比べると見劣りします。

ゴファン(1st 32%、2nd 55%)にも劣る数字となっています。

ゴファンはたしかに素晴らしい選手ですが、ストロークのラリー戦では錦織も負けていないと思います。
それでも、リターンのポイント率でこうした差がでるのは、
リターン力(リターンをミスしないで返球する、甘いリターンをしないとか)に差があるんじゃないかと思います。

このリターン力、現状データは持ち合わせていなく感覚によるものですが、
いずれなんらかの形で数値化してみたいと考えています。

リターンについては、返球率を高めるとかリターン力にもう少し改善の余地があって、
そこが、さらに飛躍できるかどうかのポイントになっていくのかなあ、と思いました。

最後に

以上、長くなりましたが、
サーブとリターンのポイント率向上について考察してみました。

ちゃんとした結論は出せていませんが、
・1stサーブの確率とポイント率の数字
・相手によってどういうサーブを打っていくか。(スピード、コース、球種など)
・リターンの返球率とか甘いリターンをしていないか

などに着目して2017年の錦織のプレーをみていきたいと思いました。

あとは、感覚で捉えているところをデータ化(数値化)していくところにもトライしていきたいな、とも思いました。

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